「育児教育」はいつ受けるか

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2015年02月10日

先日、3歳の長男が通う保育園で行われた保育参観に出席した。この1年の保育園での生活や成長の様子について映像を交えて振り返り、保育士を交えた父母の情報交換、保育参加などを行った。双方向コミュニケーション(会話)が可能となりつつも、意思を持ち親の言う事に容易に従おうとはしない2~3歳の子どもを、如何にしてその気にさせて自分でやらせるか、といった話題で盛り上がった。「魔の2歳児」とはよく言ったもので、なかなかに難しいお年頃だ。

我が身を振り返ると、育児はいろいろと手探りであることに気付く。子どもに限らず人間は十人十色であって、正解が一つではないのは言うまでもない。しかし、年齢に応じた特徴的な部分やその対応方法などについて、基本のようなものはあるはずだ。人間は誕生してから、どのように大人になるのか、精神・学習機能・身体能力はどのようなプロセスを経て成長していくのか、それに関わる大人はどのような観点が必要なのか。このようなことを知っていると、当事者でなくとも子どもへの接し方は大きく変わるだろう。我々はその基本を一体いつ学んでいるか。

学習指導要領をみると、育児に関しては、中学校では「技術・家庭」の家庭分野で、幼児の発達と生活の特徴、子どもが育つ環境としての家族の役割などについて学ぶ。高等学校では「家庭」で、親の役割と保育の重要性や地域及び社会の果たす役割、子どもを生み育てることの意義や子どもとかかわることの重要性などについて学ぶこととなっている(※1)。しかし、少子化などにより「実践」する機会が少ないため、知識として定着するに至っていない可能性がある。少子化対策としては遠回りかもしれないが、社会全体で子どもを育てるという意味で、学校教育で子どもに接する機会や育児の体験を取り入れることも有効であろう。

大人になってからはどうか。同世代の子を持つ友人や隣近所に聞くと、妊娠~乳児くらいの過程では病院が多く、家族(特に両親)や書籍・雑誌など、さらには自治体などによる地域の支援サービスなどもあった。そして皆が口を揃えて言うことは、それぞれで教わることが違うので、一体どれを信じればよいのかわからない、ということだった。結局手探りで自分の子どもの特徴に合ったやり方を選択することになるのだが、そのストレスは大きい。子を育てる当事者となったとき、育児について詳細かつ体系的で信頼できる情報が得られ、頼れる手助けがあれば、育児の不安やストレスを和らげることができるだろう。特にこれからは、男女が等しく育児に参加するという考えが広まってきていることもあり、育児教育を受けたいと望む男性も増えてくるかもしれない。

(※1)文部科学省「中学校学習指導要領」(平成20年3月)、「高等学校学習指導要領」(平成21年3月)

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