倫理と経済のかかわり

2003年12月5日

  • 資本市場調査部 石田佳宏
21世紀は「こころの時代」だと言われている。倫理と経済の関係は今更ながら申し上げることもないように思えるが、重要なファクターである。 経済活動は、機械が行うものではなく、個々の組織において人が行うものである。しかし、残念ながらその「こころ」の主体である「人」やその所属する「組織」の行動に、その倫理観が欠如した新聞記事は、枚挙にいとまがない。

企業においては、企業組織がその最も価値のある財産である「評判」、「ブランド」を築き上げるには何年もの期間を要する。 しかし、一度の不祥事.があれば、それをあっさりと失ってしまう。企業組織は社会の中から人を集めその力を結集して成果を出す組織であり、その基盤を社会に依存する以上、社会ルールを遵守して行動すべきである。これまでの倫理学の発想ではモラル主体はあくまでも個人としての人間であった。しかし、組織体である企業もモラル主体であり、現代企業観の妥当性が要求されてくると言われている。企業活動の存立の基盤は、社会の信頼と共感にある。

大企業の相次ぐ不祥事において、現場の責任者が不正を直接指示。 「仲間内でサポートしあって悪いことをして、結局、内部告発するのが日本の会社のパターン」であると言われている。 さらに、「悪いことでも、ムラのためにやったのだから、大したことではない」と思っている。

企業倫理のルールが組織に備えられても、これを軽視する組織風土が存在していれば、その倫理機能を発揮しえない。昨今では、消費者との関係で企業不祥事が相次いで発生し、経済界全体が社会の強い批判にさらされている。市場経済への不信にもつながりかねず、組織や組織人に倫理観が求められるのである。

現在、科学技術の未曾有の発展により、人類は価値混迷の時代に直面している。多面的な価値観の中で、個々人の倫理観と組織の企業倫理そして、それを組織として生かす風土が必要となってきている。現代に生きる人々や組織に対して、人道的倫理や社会的規範の倫理は、企業のモラルハザード等を防ぎ、より健全な経済活動もたらす役割が望まれる。

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