目前、中国において約5万人が「月嫂」に従事しており、主に大中都市に分布している。上海市家庭サービス業界協会の調査によると、「月嫂」はその派遣会社の基準に従い、高級、中級、初級などの別レベルに分けられている。その賃金はレベル別に1カ月6600元(約8.6万円)、4600元(約6万円)、2600元(約3.4万円)と目安を設けている。ただし、これはあくまで参考価格であり、実際にはもっと高い価格を提示されるケースが多いという。

*催乳師とは、日本の助産師のように母乳マッサージを施術する専門家。催乳師免許は国家労働局の管理監督を受ける国家資格となっている。
(出所):インターネット情報より大和総研(上海)まとめ
なぜ中国で「月嫂」はそんなに人気があるか。これはすでに社会問題として注目されている。
- 70年代、80年代に生まれた若い親たちは良好的な教育を受け、先進的な教育理念を持ち、金離れがよく、品質にこだわり、子供に最高のものを与えたいと思っているのだ。
- 社会・経済の発展に従って、人々の婚姻、出産、家庭に対する考え方にも大きな変化が現れて、それまでの「早く結婚し早く子を産む」の伝統的な考え方は、だんだんと多くの出産適齢期の人たちに見捨てられ、「遅く結婚し遅く出産する」になり、それにつれて、高齢出産はだんだん社会の普遍的な現象になっている。高齢出産の妊婦たちは体力の低下と体調不良が多くて、他人の助けを必要とするようになるのだ。
- 社会的分業の発展につれて、一部の家庭が一般家事労働の家政婦と子育てに関わる家政婦を利用する。一般家事労働の家政婦家は若くて未婚の女性が多くて、育児経験もなく、科学的な育児知識も持っていない。育児経験を持つ家政婦の需要は大きい。
80年代に生まれたベビーブーム世代の結婚適齢期到来により、中国では、新たなベビーブームとなる可能性が高い。中国における幼児産業は規模の大きい、且つ成長率の極めて高い市場となる。第5次全国人口調査の結果によると、中国0-3歳の幼児の数は7000万にも達した。そのうえ、毎年約2500万の新生児を迎える傾向があるようだ。その内、10%の赤ちゃんに「月嫂」が備えられている。つまり、毎年、全国では「月嫂」が約250万人も必要となるということだ。更に、このデータが毎年5%のスピードで増加し続けているという。
- 「月嫂」業界に対する専門の政府部門は現時点ではまだ存在していないこと。
- 「月嫂」が社会保険制度に加入することができないので、給料の基準、社会保障などに関する法律規定もなく、労災事故の際にも法律に規定された労災に当たらないこと。
- 「月嫂」への職業訓練等級評価はその派遣会社が実施し、合格すれば証明書をもらえる。「月嫂」は国家資格ではなくて、国家機関が研修を行わないため、信憑性に欠けていること。
社会転換期における中国は、人々の価値観が大きく変容し、経済急成長による貧富の格差が拡大しつつあり、人々の消費ニーズもますます細分化されている。それにより、たくさんの新たな業界が絶えず生じている。「月嫂」は家政婦業から細分された独立の業界として、全社会の注目を引き続き集めている。「月嫂」業界の持続的かつ健全な発展を確保するため、関連法律・法規の整備、管理監督システムの確立が今後の課題と思う。
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