気がつけば日本経済は最弱

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2009年02月04日

  • 小林 卓典

サブプライム問題から距離をおいていたはずの日本経済の悪化が目立っている。10-12月期のGDP成長率は、前期比年率10%超のマイナス成長となった可能性が高く、金融危機の震源地である米国の同マイナス3.8%よりもかなりに大きくなりそうだ。

自動車やエレクトロニクスなど、耐久財の輸出に強みを持つ日本の産業構造自体が、金融危機の中にあって、むしろ欧米よりも強い逆風を受けることにつながっている。

個々の企業の合理化努力やリストラも、皆が同時に行えば、合成の誤謬によって事態を一段と悪化させてしまう。これが世界じゅうに一気に広がったのは、危機感をも瞬時に共有させてしまうグローバル化のなせる業ということだろう。

輸出の減少が続く限り、もともと内需のバッファー機能が弱い日本経済は、衝撃を吸収することが苦手である。そのため、米・中の大型景気対策に期待しつつ、外部環境の好転を待つことが現実的なシナリオということになりそうだが、両国の政策効果は期待されつつも、今のところ未知数なものだ。

雇用調整の本格化とともに日本の景気悪化は加速する。財政赤字の制約から打てる景気対策は大掛かりなものは無理としても、ならば小規模であっても実施のスピードが求められる。両方に欠く事態となれば、今年の日本の成長率は主要国の中で最低ということになろう。現実はその方向に向いているようだ。

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