2008年も強気のコモディティ投資

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2007年12月26日

  • 山田 雪乃
2007年はコモディティ価格が軒並み高騰した。原油(WTI)価格は11月21日に一時99.29ドルをつけ、金価格も11月8日に837.5ドル(終値)と過去最高値の834.0ドルを超えた。年初からの上昇率はそれぞれ6割高、3割高にのぼった。穀物価格も一本調子で上昇し、小麦は12月19日に9.7米ドル/ブッシェルの高値をつけて年初から+87%、大豆は12月25日に11.8米ドル/と同73%上昇した。投機マネーが入りにくい鉄鉱石や石炭の市場でも、中国の需要増で需給が急激に逼迫し、スポット価格は前年比2倍以上に高騰した。

資源エネルギー市場を見通す上で、個別商品の「需給」に加え「マネーフロー」を見る必要性が強まっている。そのマネーフロー面からは、08年も追い風が続き、潤沢な資金流入が資源価格を押し上げる見通しだ。短期的には、先進国の利下げによる流動性供給、長期的には、3つのマネー(年金マネー、チャイナ・マネー、オイル・マネー)がその源泉になるだろう。

需給面では、「世界景気への敏感度」と「中国の不足感」が要になってくる。中国を始めとした新興国の需要は強いものの、サブプライム・ローン問題の深化で世界景気の鈍化懸念が強まっている。「景気敏感度」で投資選好度を色分けすれば、金に最も強気であり、次いで、穀物、原油、非鉄金属と続く。

「金」は、利下げによる米ドル安とインフレ懸念に打ち勝つ投資先であり、価格上昇余地が大きい。金鉱会社のヘッジはずしや、金ETFへの資金流入、宝飾品の主要消費国の中国やインドでの需要増など強材料が出揃い、構造的な需要拡大局面が続くだろう。

景気変動の影響を受けにくい「穀物」は、バイオ燃料ブームと中国での豚肉需要増が後押しし、引き続き強含みとなるだろう。中でも、年前半は世界景気の減速懸念が残り、穀物市場への資金流入が一層促されるだろう。

「原油」は金と比べて世界景気への感応度が高い分、足元では調整気味に推移するだろう。しかし、08年後半にかけて原油の世界需要回復見通しが強まるにつれ、高値を更新する可能性が高い。原油価格が高値圏で推移する中で、代替燃料の需要が膨らんでくる見通しだ。

一方、景気に敏感な非鉄金属価格は上値の重い展開が予想される。非鉄金属を「中国需給」で色分けすると、銅は中国の電力・建設向け需要が旺盛である点で強気だが、亜鉛やアルミは精錬所の立ち上がりが供給増に繋がるため、弱気に見ている。

08年の資源エネルギー市場をマネーフロー面から見れば、年金基金などによるコモディティ市場への資金シフト、需給面から見れば、中国とインドの資源需要の増加が続く見通しであり、引き続きコモディティ投資に強気のスタンスで臨んでいきたい。

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