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Microsoft Windows の次期バージョンにおいて、長年 Windows 利用者に親しまれてきた「MS明朝」「MSゴシック」などの書体 (フォント)
が変更される予定であることをご存知だろうか?
もともとの理由は、漢字表記を旧字体へ回帰しようとする動きと、それに伴う文字コード規格の改定である。
Windows をはじめ、日本国内で使用されるソフトウェアの多くは、JIS X 0208 (JIS第1水準、第2水準漢字) を元にしたシフトJISコードを用いて日本語を処理している。しかし、JIS第2水準までの文字
(非漢字を含めて約7,000字) では不十分なことが多く、各企業や各利用者によって外字 (機種依存文字) の追加が行われていた。Windows の機種依存文字も然り、携帯メールの絵文字も然りである。
JIS の新しい文字コード規格、JIS X 0213:2000 (2000JIS) は、そのような状況のもとで2000年に制定された。JIS X 0208:1997
(97JIS) にJIS第3水準、第4水準漢字を追加し、文字数は非漢字を含めて11,000字を超えている。
その同じ2000年に、国語審議会(当時)が「表外漢字字体表」と呼ばれるものを最終答申した。表外漢字字体表は、常用漢字と人名用漢字に含まれない表外漢字のうち使用頻度の高い1022字について、字体選択のよりどころを示すものである。旧字体
(中国の清朝の時代に完成した康煕字典の字体) を基調として1022字の印刷標準字体を示している。たとえば、森鴎外の「オウ」の旧字体 (「区」の中の「メ」が「品」)
などが含まれる。
表外漢字字体表は、1983年以降の JIS X 0208 において約250字の漢字を旧字体から略字体へと簡略化したことによる混乱を収拾するのが主な目的であった。たとえば、「鴎」へと字体を簡略化したことによって、もとの「オウ」の旧字体は使用できなくなっている
(本コラムもその影響を受けている)。2000JISにおいて、「オウ」の旧字体などは例外的に追加されたものの、そもそも2000JIS対応のソフトウェアはほとんど存在していない。そのうえ、2000JISにおいても依然として使用できない旧字体が多数存在していた。
そのような状況を踏まえて、2004年に JIS X 0213:2004 (2004JIS) が改定、制定された。表外漢字字体表には178字について対応しており、そのうち168字についてはJIS規格票に掲載する例示字体を変更し、残りの10字についてはあらたに追加した。その例を文末の図に示す。
また、この 2004JIS において、JIS第4水準漢字までの文字と、国際規格の文字コードであるUnicode (ユニコード) との対応付けが明確化された。Windowsなどの国際的なソフトウェアは、多言語対応を図るために
Unicode を導入している。この Unicode の最新規格には2004JIS (JIS第4水準まで) の文字がすべて含まれている。次期バージョンのWindowsにおいて、最新のUnicodeとJIS規格の文字コードに同時対応する環境が整ったことになる。
そして、「MSゴシック」「MS明朝」などのフォントも、2004JISに合わせて字体が変更されるというわけである。字体が「化ける」ことによる混乱が、ある程度予想される。もっとも、字数そのものは大幅に増加しており、利点を享受する局面も多いだろうことを付記しておく。
文字コードや字体については、技術、文化、行政など、様々な観点から激論が交わされてきた歴史がある。本コラムの趣旨から外れるため、ここではそれへの言及を避ける。その代わり、どの漢字の字体が変更される予定なのか、今のうちに経済産業省のプレス発表などで確認しておくことをお勧めする。もしも運悪く自分の名前や住所に用いる略字体が含まれていたら、そのうち何らかの対応が求められるということである。
(参考)
経済産業省(平成16年2月20日プレス発表)「JIS漢字コード表の改正について」
http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0004964/
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