中高年/女性の行う運動・スポーツは?

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2013年08月08日

  • 市川 正樹

夏休みシーズンとなり、運動やスポーツを楽しむ人も多いかと思われる。

中高年、特に今後も爆発的に数が増えていく高齢者が行っている運動・スポーツは何だろうか。更に、女性も行うものなら家庭では何かと進めやすいはずだが、女性はどうだろうか。

下図は、2009年に行われた調査の結果であり、様々な運動・スポーツについて、過去一年間に行ったことのある人の比率を男女別・年代別に示したものである。なお、中高年の方が母数は多く、各年代での比率を絶対数と捉えないよう、注意が必要である。

ウォーキングがトップで、しかも中高年の方の比率が高い。健康志向の高まりを反映してか、50代、60代では半数を超える。内容は類似しているが多少ハードルが高くなるハイキング等も、中高年登山が話題となるように中高年の方が比率は高い。特に、女性の方が全体的に比率は高く、加えて、若い「山ガール」よりも中高年の方が比率は高くなる。一層ハードルが高くなるクライミングを含む登山となると、やはり逆に若手・男性で比率が高くなる。詳細な定義の下で厳密に区分して調査されたわけではなく、回答者に短時間で自由に選択してもらうため、ウォーキング、ハイキング等、登山の3つのイメージの違いが出て、比較的軽めと思われるものの方が中高年の比率は高い。なお、中高年のハイキング等では最後に温泉に入ったり泊まったりするケースも多いのではないかと想像されるが、キャンプというイメージとは違うようで、キャンプ等となると子連れ等が多いことからか、やはり若い層が中心である。

全年代トータルで2番目に多いのは体操で、特に女性で比率が高い。中高年での比率も高いが、若い年代ほどではない。

ボウリングは、かつてのブームを経験した団塊の世代でのリバイバルかと思えば、若い年代での比率が圧倒的に高い。

ランニング、水泳、テニス等は一見取りつきやすそうな感じはするが、実際はきついためかやはり中高年は敬遠するようである。

ゴルフは、当然男性中高年での比率が高いが、女性ではかなり落ちる。特に中高年女性で落ち方は顕著である。高齢者向きゴルフともいえるゲートボール等もやはり男性中心だが、70歳以上で比率が高まる珍しい例ではあり、70歳以上では男女とも上から3番目となる。

ダンスは逆で、女性中心であるが、年代に関係なく行われているようである。

野球等、サッカー等は、見る方はともかく、自分でするとなると、やはり若手中心のようである。

その他の種目については省略したものの、若い年代が中心となる傾向が強い。

世は健康ブーム。企業には、増加を続ける高齢者や家計支出でカギとなる女性の需要をつかむ手掛かりになるかもしれない。特に、ウォーキング、ハイキング等、登山は、グループとしてみると女性での比率が圧倒的に高く、自然志向の高まり、アウトドアブームの中で、よりハードルの高いものに移行していく可能性もあり注目されよう。

運動・スポーツにより健康が保て、「ピンピンコロリ」なら医療・介護関係の財政支出の減少にもつながろう。一方、年金給付総額は増えるかもしれないが、健康で長生きというのは社会全体としてもおめでたいことである。健康で長く働くことができれば、所得・消費支出の増加に伴い税収が増えるなど財政にも貢献しよう。

これらが、本人にとっても良いことはもちろんである。しかし、例えば、山岳遭難者は60代が全体の3分の1を占める(2012年、警察庁調べ)など、体力が衰えていることは否めないことなどから決して無理はしないことが肝要であろう。といっても、全年齢を通じ、半数は無事救出され、死亡・行方不明は1割程度(2012年では284人で交通事故死より遥かに少ない)ではあるが、警察のお世話になるのは避けたいところである。

1年間に行った運動・スポーツの種目

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