企業買収と独占禁止法の改正

2008年5月7日

  • 制度調査部 堀内勇世
今年3月11日、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律及び不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案」が国会に提出された。独占禁止法などの改正案の国会提出である。この改正案には、a)課徴金の対象となる違反行為を拡大すること、b)課徴金減免制度を拡充すること、などの課徴金制度に関わる改正が含まれている。しかし、企業買収との関係では、この改正案に含まれる企業買収に関わる改正に注目しなければならないだろう。

企業買収に関わる改正とは、独占禁止法において、企業結合規制などと呼ばれたりする分野の規制に関する改正である。この改正案では、例えば、「会社が他の会社の株式を取得する場合の届出」について、次の改正が掲げられている。

1)現行の独占禁止法では、会社が他の会社の株式を取得する場合、一定の場合に、事後に公正取引委員会に株式保有報告書を提出することになっている。つまり、事後届出制度が採用されている。これを改正して、事前届出制度とするとしている。
2)また、上記1)の届出が必要となる場合の基準として、改正前後を通じて、取得する会社側・取得される会社側が一定の規模以上であることが定められている。現在は、総資産で規定されているが、これを国内売上高に変更して、新しい基準を定めるとしている。
3)そして、上記1)の届出は、改正前後を通じて、議決権の取得が特定の数値を超えるごとに必要となるように定められている。この数値を変更するとしている。この数値については、独占禁止法の改正が行われた後に政令で具体的に定められることになろうが、これは現在の3段階(10%超、25%超及び50%超)から2段階(20%超及び50%超)に簡素化される予定である。

この独占禁止法の改正(企業買収に関わる部分の改正)は、少なからず企業買収に影響を与えるのではないかと考える。また、独占禁止法改正が実務に与える影響は、改正法成立後に規定される政令や規則など、また公正取引委員会の運用により、変ってくる面もあるといえる。それゆえ、正当な経済活動として企業買収が行われた場合に、それが妨げられることがないような形で、今後、政令・規則などが規定され、運用されることが望まれる。

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