コラム

COLUMN

2007.01.17

資本市場調査部 鈴木準 [プロフィール]
2007年度予算と中期的財政運営への視点
 
まもなく、通常国会が始まる。年度内は予算やその関連法案の審議がメインである。07年度予算案は、「骨太方針2006」の歳出・歳入一体改革で描かれた基礎的財政収支黒字化シナリオの初年度であり、安倍政権が編成した最初の予算である。夏には参院選が控えており、国会論戦への関心は強い。

「骨太方針2006」で示された16.5兆円とは、名目成長率3%を前提に歳出を自然体で伸ばし、経済成長による歳入増も見込んだ上での要対応額である。現在の歳出をどれだけ削るかではなく、歳出・歳入を伸ばすと基礎的財政収支赤字が16.5兆円残るという意味である。しかも、それは5年後の名目金額であり(一般に、実質よりも名目の予想は難しい)、国民経済計算ベースの中央・地方政府の話である。ちょっと、分かりにくい。

07年度の政府予算を眺めても、そのシナリオにどれだけ沿っているのか分からない。ただ、予算案に関する様々な資料をみる限り、概ね目標通りの歳出改革が進められてはいるようだ。歳出全体としても、分野ごとにみても、「骨太方針2006」での厳し目の線で進んでいるという(必要な歳出削減は11.4〜14.3兆円と幅で示されている)。

同時に注目されるのが、「改革と展望」にとって代わる「進路と戦略」である。まもなく決定される。中期の実質、名目の成長率見通しが改訂されれば税収や歳出が変化し、シナリオが修正される。報道によれば、基礎的財政収支黒字化の目標時期は前倒ししないものの、消費税などの増税回避シナリオが示されるようである。

中期的な成長戦略に軸足をおくシナリオのリスクは何だろうか。第一に、景気循環的な変動のため、税収が期待通り増えないかもしれない。07年度予算は06年度予算より7.6兆円も増収となり、成長こそ重要という認識が強まっている。経済成長が重要なのは当然だが、うち4.6兆円は06年度補正予算で計上されるのであり、それは実現した見積もり違いである。また、1年前に決めていた定率減税全廃分1.2兆円などもあり、07年度の実力ベースの増収は1.5兆円程度にとどまる。

第二は、経済成長に伴う金利上昇ではないか。一般会計の利払費率は86年度をピークに低下傾向にある(図)。図には、00年度以降について当初予算段階での値を点線で書き込んだが、毎年の予算編成が保守的であるのが鮮明である。ところが、長期金利が03年度に底を打った後、その意味は深遠ながら点線の形状が変化してきた。07年度予算の国債費の増加は交付税特別会計の債務承継の影響が大きい点に注意だが、利払いが増えれば、基礎的財政収支が改善しても財政赤字は縮小しない。成長戦略が具体化されることは、利払費への注目度を高めるだろう。

(図)一般会計の利払費率

(注) 利払費率とは、一般会計歳出に占める利払費の場合。
出所 :財務省資料より大和総研作成

 


ご参考
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