サマリー
◆海外発の景気下振れリスクは残存:2016年1-3月期GDP二次速報の発表を受けて、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2016年度が前年度比+0.7%(前回:同+0.8%)、2017年度が同+0.7%(同:同▲0.1%)である。足下で日本経済は「踊り場」局面が継続しているものの、先行きに関しては、①実質賃金の増加、②原油安と交易条件の改善、③補正予算の執行、などの国内要因が下支え役となり、緩やかに回復する見通しである。ただし、中国を中心とする海外経済の下振れリスクには細心の注意が必要となろう。なお、前回は2017年4月に消費税増税を行うと想定していたが、安倍首相の6月1日の増税延期表明を受けて、今回は増税延期を前提とした(→詳細は、熊谷亮丸他「第189回 日本経済予測(改訂版)」(2016年6月8日)参照)。
◆何故、個人消費は低迷しているのか?:足下で停滞が続く個人消費を回復軌道へと戻すことは、現在の日本経済における最重要課題の一つであると言っても過言ではない。そこで、アベノミクス以降の個人消費の動向を精査したうえで、「年齢階級別」、「年収階級別」という視点から、先行きの個人消費を活性化させるための処方箋について検討した。定量分析の結果を踏まえると、アベノミクス以降、個人消費の盛り上がりに欠けた「若年層」、「低所得者層」に対する所得支援策の発動は、経済面でのプラス効果という観点からも基本的に支持されよう。ただし、中長期的に「若年層」の消費支出を促すには、労働市場改革などを通じた雇用・所得環境の改善が不可欠である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
英国国民投票よりも米国景気
2016年06月22日
-
第189回日本経済予測(改訂版)
海外発の景気下振れリスクは残存 ~①消費停滞、②消費増税再延期の影響、③マイナス金利を検証~
2016年06月08日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日