生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策

~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載

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2024年04月25日

サマリー

本論文は、生成AIが日本の労働市場に与える影響に関し、独自にAIと職業情報データベースを活用したビッグデータ分析を実施したものである。その上で、各職業を生成AIとの関係ごとに協働、代替、その他の3グループに分類した。

分析の結果、協働グループと代替グループの就業者割合は共に約20%であった。産業別では、金融業や不動産業などでは、協働・代替グループ双方の就業割合が高かった。情報通信業などは、協働グループの割合がより高かった。年収別に見ると、協働グループの年収は平均より高い傾向がある一方、代替グループのそれは平均をやや下回る傾向が観察された。

今後、生成AIの利活用の広まりで、協働グループでは生産性向上による雇用や所得の増加が期待できる。他方、代替グループでは、適切な対応がなければ雇用・所得の減少や伸び悩みが予想される。生成AIの恩恵を広く行き渡らせるためには、日本版スキルズ・フューチャーの創設によるリカレント教育の活性化、ジョブ型雇用の拡大、非正規社員を中心とした労働者支援の拡充など、技術進歩に合わせた労働市場の変革が求められよう。

大和総研調査季報 2024年春季号Vol.54

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。

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