サマリー
30年ぶり、40年ぶりの高インフレと聞くことがすっかり珍しくなくなる中で、生活が苦しくなった人が増えている。消費を減らすことが難しいエネルギーと食品が物価高騰の主因であるため低所得層の生活苦が特に深刻だが、総じて急激な物価高に賃金上昇が追い付かず、実質賃金は目減りしている。また、高インフレを抑制しようと大幅な利上げに踏み切る中央銀行がますます増えているが、これは家計の債務返済負担を大きくする。この状況下で行われた英国与党である保守党の党首選やイタリア総選挙に向けた選挙戦では、争点はもっぱらインフレと景気悪化への対策に集中した。物価高と金利上昇による生活苦を和らげるべく、各国の政府は一時金支給や減税などの生活支援策を講じている。ただし、その財政措置が、金融政策のインフレ対策の効果を打ち消さず、また、財政悪化懸念を招かないようにと配慮する必要があり匙加減が難しい。「政治の力」の存在感が特に大きい中国では10月16日から開催される共産党大会のあとに、ゼロコロナ政策の緩和が進むかが大いに注目される。
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