2016年03月25日
サマリー
◆2015年12月に、3月決算の上場会社によるコーポレートガバナンス・コードに基づく開示情報を記載した「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」の提出の期限を迎えた。
◆東証1部上場会社による10月末までの提出分では、238社中227社において「政策保有に関する方針」に関する記述が確認できた。その中には少数ではあるが、「原則、保有しない」方針(17社)や「削減方針」(6社)とするものもあった。
◆また、238社中222社 において「議決権の行使」基準に関する記述が確認できた。そのうち、一定の条件に該当した場合に、「反対」の議決権行使を行う可能性を明示しているのは、11社にとどまっている。
◆CG報告書での開示は義務付けられていないが、政策保有株式の「中長期的な経済合理性や将来の見通し」の検証に関する記述が238社中169社 において確認できた。そのうち、検証結果によっては、政策保有株式を「売却」する可能性を明示しているのは、45社にとどまっている。
◆政策保有株式を巡っては、これまでも株主・投資者と上場会社の間で認識のギャップがあった。こうした認識のギャップを埋めて、「建設的な対話」を通じた相互理解・共通認識を形成するためにも、政策保有株式に対する株主・投資者の懸念に応える情報開示が求められよう。
(※1)William Shakespeare “King Lear” Act 1 Scene 1
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
株式保有状況開示の現況(2011年版)
2011年08月05日
-
コーポレートガバナンス・コードと金商法、会社法の論点①
コーポレートガバナンス・コード原案の概略
2015年01月15日
-
コーポレートガバナンス・コードの策定に伴う東証上場規程等の改正
2015年05月21日
-
CGコード開示の動向① 「コンプライ・オア・エクスプレイン」の現況
“comply or explain” : that is the question
2015年12月24日
-
CGコード開示の動向② 選任・指名の方針・手続等の現況
“So are they all, all honourable men—”
2016年02月05日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
株主提案制度にコスト/ベネフィット分析を
世界で最もアクティビスト・ファンドにとって使いやすい日本の株主提案制度
2024年05月09日
-
医療等情報の二次利用は誰のためか
創薬・医療機器開発のみならず、医療の質の向上や効率化にも活かす
2024年05月09日
-
東証カーボン・クレジット市場の動向と今後の市場活性化に向けた課題
市場活性化の鍵を握るボランタリー・クレジットの活用
2024年05月09日
-
ガバメントクラウドは誰に任せるべきか
国産クラウドの初採用に寄せる期待と懸念
2024年05月09日
-
新興国通貨安は脱炭素に向けた投資の障害に
~通貨バスケットに連動する債券(WPU連動債)で為替リスクを低減~
2024年05月08日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日