サマリー
◆3月19日~20日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)は、景気減速懸念の高まり、およびインフレ率の落ち着きを背景に総じてハト派的な内容となった。ただし、1-3月期の景気減速には、政府機関一部閉鎖など、一時的な要因が影響した可能性が高く、4-6月期以降は再度勢いを取り戻す可能性が高い。一方、エネルギー価格の下押しにより、インフレ率は年末までは上がりづらい状況が続くとみられ、FRBが利上げを急ぐ必要性は低い。長期金利の低位安定が、景気拡大をサポートする状況は当面持続しよう。
◆他方、米国経済にとっての大きな悩みの種である、通商政策を巡る不透明感は未だ晴れない。中国との交渉に関して、政府高官は、たびたび議論の進展を強調する一方、制裁関税の撤廃時期や、中国側が受け入れた強制的な技術移転の禁止などの合意事項の履行を巡る対立が続いているとみられ、最終合意は先送りが繰り返されている。
◆また、USTRは4月8日に、EUがエアバスに対して補助金を拠出していることへの対抗措置として、追加関税を検討することを表明した。関税規模は110億ドル程度が見込まれ、導入されたとしても米国経済への悪影響は限定的であろう。しかし、EUとの関係が悪化すれば、通商交渉期間中は棚上げにすると約束されている、自動車・同部品に対する追加関税、さらにはEUによる報復関税が実施されるリスクが高まることになる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日