サマリー
世界経済は昨年春のコロナショックからの回復局面にある。米欧では新型コロナウイルスのワクチン接種の進展を背景に感染防止策が段階的に緩和され、サービス消費が回復しつつある。ただし、人の移動の増加に、感染力が強いデルタ株の流行が重なって夏場に感染が再燃したように、ワクチン接種が進んでも感染抑制と経済再開の両立は一筋縄ではいかない。世界的なインフレ懸念も、経済再開を受けた資源・コモディティ価格の上昇、半導体不足などの供給制約だけでなく、感染拡大を原因とする工場の操業停止や人手不足などの要因が絡み合い、欧米の中央銀行が主張するように一時的なのか、そうではないのか見極めが難しい。明確なのは感染抑制と経済再開をなんとか両立させることが各国の政府の長期的な課題となったことであり、その中でコロナ禍前から存在する様々な社会問題の解決も同時に図る必要性が高まっていることである。日本とドイツでは新首相選出につながる選挙がこの9月末に実施されるが、新首相率いる新政権は目前のコロナ対策を、長期的な問題意識も併せ持って取り組む必要がある。
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