サマリー
◆ユーロ圏の2023年1-3月期の実質GDP成長率(速報値)は前期比+0.1%(前期比年率+0.3%)となった。前期のマイナス成長から、小幅ながらもプラス成長へと転じ、どうにかテクニカルリセッション(2四半期連続でのマイナス成長)を免れた。
◆主要国ではドイツがほぼ横ばいに留まったものの、フランス(前期比+0.2%)、イタリア(同+0.5%)、スペイン(同+0.5%)はプラス成長となった。主要国以外では、ポルトガル(同+1.6%)、ベルギー(同+0.4%)、ラトビア(同+0.5%)がプラス成長となり、大半の国がマイナス成長を回避した。
◆ただし、今回のプラス成長には外需の拡大が大きく寄与したとみられる。内需については、国によって動きにばらつきがありつつも、総じて力強さを欠いている。ユーロ圏全体としてプラス成長とはいえ、楽観視できるような内容とは言い難いだろう。
◆4-6月期のユーロ圏GDP成長率は、プラス幅の拡大が期待される。当面のエネルギー不安が後退したことに加え、エネルギー価格下落を主因としたインフレ率の鈍化が個人消費の持ち直しに寄与すると見込まれる。一方、インフレ率の鈍化が想定よりも遅れることによるECBのタカ派化、銀行不安を受けた銀行の貸出態度の厳格化、米国経済減速に伴う輸出の停滞など、先行きの不安材料は多い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
株主提案制度にコスト/ベネフィット分析を
世界で最もアクティビスト・ファンドにとって使いやすい日本の株主提案制度
2024年05月09日
-
医療等情報の二次利用は誰のためか
創薬・医療機器開発のみならず、医療の質の向上や効率化にも活かす
2024年05月09日
-
東証カーボン・クレジット市場の動向と今後の市場活性化に向けた課題
市場活性化の鍵を握るボランタリー・クレジットの活用
2024年05月09日
-
ガバメントクラウドは誰に任せるべきか
国産クラウドの初採用に寄せる期待と懸念
2024年05月09日
-
新興国通貨安は脱炭素に向けた投資の障害に
~通貨バスケットに連動する債券(WPU連動債)で為替リスクを低減~
2024年05月08日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日