サマリー
◆ユーロ圏の2022年7-9月期の実質GDP成長率(速報値)は前期比+0.2%(年率換算+0.7%)となり、6四半期連続でプラス成長を維持した。もっとも、2022年1-3月期の同+0.6%、4-6月期の同+0.8%からは大幅に減速した。
◆イタリアは前期比+0.5%と主要国の中で最も高い伸びとなったが、前期の同+1.1%から半減した他、フランスも前期の同+0.5%から同+0.2%に半減、スペインに至っては前期の同+1.5%から同+0.2%に急減速した。一方、マイナス成長が予想されていたドイツは同+0.3%と、前期の同+0.1%から加速した。このように、プラス成長を維持したユーロ圏経済だが、取り巻く環境は混沌としており、年末から2023年初めにかけてマイナス成長に陥る可能性が高まっている。
◆ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に起因する要因がユーロ圏経済の重しになっている。エネルギーや食料品等生活必需品の価格高騰は個人消費の足を引っ張り、冬を前にしたエネルギー供給への懸念は企業景況感や消費者マインドを大幅に押し下げ、先行きへの不透明感が企業や家計に慎重な支出行動を強いている。
◆高インフレに対処するため、ECBは連続して政策金利を大幅に引き上げているが、インフレ率はECBの想定を上回り続けており、金融引き締め終了の目途は立っていない。金利の上昇は、住宅ローンを組む家計や事業資金を調達する企業だけでなく、エネルギー対策で歳出が膨らむ政府部門の借入コストの増加につながる。
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