サマリー
◆10月17日~18日に開催されたEUサミットでは、こう着状態に陥っている離脱協定交渉での歩み寄りが期待されたが、目立った進展もなく終了した。離脱協定案における最大の問題点は、いわゆるアイルランド島のバックストップ案である。合意なき離脱の場合、英国の経済および規制枠組みを支えてきた多くのEUルールが代替策もないまま失われることになる。
◆保守党に閣外協力する民主統一党(DUP)は、北アイルランドと他の英国地域に新たな経済的障壁を設置するようなバックストップ案は一切支持しないと警告している。現段階で、メイ首相は党内の強硬離脱派や、DUPの反対論を抑えるのに苦心しており、仮にEUとの合意に至っても議会採決で否決される可能性が高い。
◆BOEの金融政策委員会はEU金融当局に対し、デリバティブ契約に関する不透明部分が多いことから、EU離脱時の対応をとるよう要請している。離脱協定の妥結なく離脱した場合、約40兆ポンド(約6,000兆円)のデリバティブ契約が無効になるとEU金融当局に対し警告している。合意なき離脱のシナリオが近づくにつれ、シティでは楽観ムードが一転している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日