サマリー
◆2013年3月1日付けの不動産価格抑制策(国5条細則)では、各都市に新築商品住宅1価格の抑制目標を設定し、3月末までに発表することを求めた。結果は、35都市のうち33都市が、住宅価格の上昇率が都市一人当たり可処分所得の実質伸び率を下回ることを目標として掲げた。2012年の都市一人当たり可処分所得の実質伸び率は前年比9.6%であり、その程度の「適度な上昇」は容認される。政府には、商品住宅の価格を下げて一般庶民の手が届くようにするとの発想はない。
◆国5条細則をはじめ2009年12月以降の一連の不動産政策は、建て前では、不動産投資・投機の抑制による価格安定化と、実需向け住宅建設の促進を謳っているが、本音では、保障性住宅2ではなく、商品住宅を中心とした供給構造とその適度な価格上昇を期待している。これは、地方政府の財政収入が土地使用権の売却収入に多くを依存していることが大きな要因である。これでは安価で提供しなければならない保障性住宅向けの土地供給を増やすインセンティブはない。今回の国5条細則のアナウンスメント効果で住宅価格がある程度抑制されても、それは一時的なものにとどまろう。
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