サマリー
◆3月5日に開幕した第12期全国人民代表大会(全人代)第1回会議では、10年間にわたり首相を務めた温家宝氏が首相として最後の政府活動報告を行った。経済・社会における矛盾と問題については、発展の不均衡・不調和・持続不可能という問題が依然として際立っていることなどが列挙されたが、そのほとんどは以前より指摘されてきた矛盾・問題であり、これらはそのまま習近平・李克強政権に引き継がれることになる。
◆2013年の実質GDP成長率目標は2012年と同じ7.5%に設定された。経済発展パターンの転換(投資偏重の是正)、経済発展の質と効率の向上(産業構造の高度化や省エネ・環境保護の強化)に重点を置き、持続可能で健全な経済成長を目指す路線は、2012年から変わっていない。
◆気になるのは、2013年の消費者物価上昇率の抑制目標が3.5%前後と、2012年の4%前後より低く設定されたことである。豚肉価格や輸入物価の上昇などにより、10月~12月の物価は抑制目標を上回る可能性がある。中国の金利政策は、物価の抑制目標からのかい離が大きな変動要因となっており、物価の動向次第では利上げのタイミングが前倒しになるリスクには注意が必要であろう。
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