サマリー
◆金融は2月下旬以降、明確に緩和に転じ、3月以降は貸出額も概ね順調に増えている。これが、内需(投資)テコ入れの第一歩であり、大和総研では、二段式ロケットの一段目への点火は既に行われたと判断している。足元で貸出増加額が上積みされる一方、中長期の割合が極端に低下しているのは、新たな投資プロジェクトが始動していないためである。6月以降、中国政府はプロジェクトの前倒し認可を進めることで、景気テコ入れを図る方針を発表しており、こうしたプロジェクトが動き出せば、貸出の中身も中長期中心に変わっていく。これがロケットの二段目への点火であり、投資が加速するシグナルとなろう。タイミングとしては、2012年10月~12月以降に注目している。
◆ただし、中国経済への過度の期待は禁物である。地方政府の債務問題や不動産価格抑制策の継続など、リーマン・ショック後の4兆元の景気対策の後始末が未だに続いている。4兆元の景気対策との比較でいえば、今回は、投資全体ではなく、農業、インフラ、保障性住宅、戦略的新興産業など民生改善や産業構造高度化につながる投資の増加が意図される。経済成長率は、10%成長への回帰ではなく、8%強への着地が目指されているのである。
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