中国:2011年7月~9月は9.1%成長

行きすぎた金融引き締め修正のための預金準備率「引き下げ」の可能性

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2011年10月18日

サマリー

◆2011年7月~9月の中国の実質GDP成長率は9.1%と伸びが鈍化した。今後の景気動向を見る上で気掛かりなのは、金融統計である。1月~9月の預金増加額は前年同期比20.5%減の8.11兆元にとどまり、預金を原資とする貸出余力の低下が懸念される。中小企業の資金繰り悪化がクローズアップされるなか、10月12日の国務院常務会議では、小型・零細企業向け貸出の増加を決定した。中国のメディアは高利貸しの貸し手・借り手リスクが如何に高いかというキャンペーンを展開し、当局は違法な民間金融の取り締まりを強化しつつある。一連の政策は、銀行システム外に追いやられた中小企業向け金融を銀行システム内に再び戻すことを目的としている。

◆大和総研では、行きすぎた金融引き締めを修正するための預金準備率「引き下げ」の可能性が高まってきたと判断している。その貸出余地の拡大は、中小企業、農業(水利を含む)、中・低所得者向けの保障性住宅、産業構造高度化に不可欠な戦略的新興産業などに振り向けられよう。

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