アジア

中華人民共和国における統一的EV充電網の普及実現可能性調査

地域:中国テーマ:産業調査

2014年12月に北京で開催された日中省エネ環境フォーラムにおいて、経済産業省と中国国家発展改革委員会が、次世代自動車関連インフラ普及に係る共同研究の実施に合意したことを背景に、大和総研が経済産業省から受託し、2015年10月~2016年3月にかけて実施したものである。

調査内容は、①政策法規、②充電インフラ普及に向けたロードマップの策定、③充電器とEVとの接続性・互換性の確認及び問題点の洗い出し、④充電器普及のための充電インフラ事業ビジネスモデルの検討、の4項目で、文献調査のほか、中国4都市(※1)での政策当局及び地元の充電事業運営会社への聞き取り調査、並びに、EVと充電器との接続性・互換性の実証実験(中国汽車技術研究中心と協働)を実施した。

  1. 政策法規:中国の次世代自動車関連政策は約70本あり、これらの政策誘導で大きな成果を収めた。今後2020年までに次世代自動車保有量500万台達成、という目標実現のためには、新たな政策の発動・調整が必要である。
  2. 充電インフラ普及に向けたロードマップの策定:「電動自動車の充電インフラの発展に関するガイドライン(2015-2020年)」(2015年11月公表)で具体的な数値目標が定められ、それに対する取り組みが進んでおり、その対象領域も国際社会での議論と乖離するものではないため、特に新たな提言を必要とするものではないと考える。
  3. 接続性・互換性の確認及び問題点の洗い出し:中国におけるAC充電(普通充電)、DC充電(急速充電)の双方に関し、日中両国の自動車メーカーのEVと中国の充電器メーカーの充電器を一堂に集め、集中方式による充電器の互換性確認試験を実施し、EV及び充電器の互換性にかかる不具合事象の確認を行った。その結果、充電システム関連標準の未準拠に係る事象や、製品の追加機能に係る不具合事象が散見された。中国電力企業連合会は、今回の日中共同研究での互換性確認試験の結果を反映させて、充電器検定に係る標準を2件完成させる計画である。今回日本側で日本メーカー車両をベースに抽出した結果と、別途中国側で抽出した日本車以外での問題点とを、突合のうえ標準に反映すべき事項が、中国電気自動車充電インフラ促進連盟に提出される計画である。中国では2018年に充電器検定制度が立ち上がる予定で、システム関連標準未準拠に係る事象についてはこの検定制度で対応し、製品の追加機能に起因する不具合については現在審議中の検定関連標準へ反映させることが可能である。従って、互換性の面で生じる問題については、本調査での活動結果により、一定の歯止めが可能と考えられる。
  4. 充電インフラ事業ビジネスモデル:充電事業の収益性は日中両国ともに低い。これは、電力価格が安価なこと、充電に必要な時間が給油時間に比べ長く顧客回転率が低いこと、充電サービス料金の引き上げには限界があること、等に起因しており、ガソリンスタンド型事業モデルを充電事業に適用しても採算確保は難しい。現地調査で得られたデータを基に、2020年に中国の政府目標が達成された場合の充電需要予測を行い、それを深圳市に適用して収益性分析を行ったところ、投資回収には2031年までかかるという結果が得られた。

中国では様々な充電事業のビジネスモデルが試みられており、参入各社は独自の工夫を凝らしながら商機の獲得を狙っている。比較分析により、中国の充電インフラ事業への参入可能企業は主として、広範な事業領域を持つ企業、充電設備製造に関係する企業、国有中央企業、という3つの範疇に属しており、今後の事業の継続運営のためには、インターネットやビッグデータを活用した付加価値増加による収益力の向上が必要と考える。事業戦略では対象顧客の絞込み、具体的には商用車や公共部門を主な対象として早期に囲い込みを図ることが事業効率の向上と早期の投資回収につながると考えられ、これらを包括した新たなビジネスモデルの構築が求められている。

中華人民共和国における統一的EV充電網の普及実現可能性調査

(※1)北京、青島、常州、深セン

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