サマリー
◆政府・与党内で、復興のための臨時増税案が決定された。個人については、主に、所得税額に4%を加算する「所得税付加税」を導入すること(2013年1月から10年間)、住民税の均等割に年間500円加算すること(2014年6月から5年間)などが含まれている。
◆また、政府税制調査会は、2011年度税制改正法案に含まれていたが未だ成立していない所得控除等の見直しについても2012年1月から実施し、復興財源に充てるものとしている。
◆本稿では、これらの税制改正のほか、3党合意に基づく子ども手当(児童手当)の見直し、既に法定されている厚生年金保険料の引上げなどを考慮し、夫婦子ども2人のモデル世帯(年収は200万円~2,000万円の7ケースを想定)において、2012年以後7年間の家計の可処分所得がどのように変化するのか試算を行った。
◆試算の結果、全てのケースで、付加税の実施は今後の可処分所得の変動の最大の原因ではないことがわかった。付加税も家計の可処分所得を減らす原因となっているが、2013年と2011年を比較すると、可処分所得減少の最大の要因は、年収400~800万円の世帯では、住民税の年少扶養控除廃止による負担増、年収1,000万円~2,000万円の世帯では、新児童手当の所得制限による手当の減少である。
◆また、厚生年金は毎年保険料率を引上げられることが法定されており、年収400~1,000万円の世帯においては、所得税の付加税よりも2年分の保険料率引上げの方が影響が大きかった。
◆また、政府税制調査会は、2011年度税制改正法案に含まれていたが未だ成立していない所得控除等の見直しについても2012年1月から実施し、復興財源に充てるものとしている。
◆本稿では、これらの税制改正のほか、3党合意に基づく子ども手当(児童手当)の見直し、既に法定されている厚生年金保険料の引上げなどを考慮し、夫婦子ども2人のモデル世帯(年収は200万円~2,000万円の7ケースを想定)において、2012年以後7年間の家計の可処分所得がどのように変化するのか試算を行った。
◆試算の結果、全てのケースで、付加税の実施は今後の可処分所得の変動の最大の原因ではないことがわかった。付加税も家計の可処分所得を減らす原因となっているが、2013年と2011年を比較すると、可処分所得減少の最大の要因は、年収400~800万円の世帯では、住民税の年少扶養控除廃止による負担増、年収1,000万円~2,000万円の世帯では、新児童手当の所得制限による手当の減少である。
◆また、厚生年金は毎年保険料率を引上げられることが法定されており、年収400~1,000万円の世帯においては、所得税の付加税よりも2年分の保険料率引上げの方が影響が大きかった。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
-
「103万円の壁」与党修正案の家計とマクロ経済への影響試算(第5版)
所得税の課税最低限を160万円まで引き上げる与党修正案を分析
2025年03月19日
-
平成以降の家計の税・社会保険料負担の推移
『大和総研調査季報』2025年新春号(Vol.57)掲載
2025年01月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日