サマリー
◆昨年の11月の利下げを契機として始まった中国株式の上昇は、個人による株式の売買の過熱と、特に信用買いによるレバレッジを利かせた取引の増加が拍車をかけたが、6月12日の中国政府による信用取引(特に「場外配資」による取引)の規制強化を受けて株価は急速な下落局面へと転じた。
◆今回の株価乱高下の背景には①個人投資家に偏った投資家構成、②信用取引に対する規制整備の遅れといった中国株式市場の構造的問題があるといえる。
◆信用取引に関しては、非合法的な取引である「場外配資」の横行や、売り買いの極端な不均衡が株価の乱高下に拍車をかけた可能性がある。
◆「場外配資」とは取引参加要件が緩く高レバレッジでの取引が可能な方法である。監督当局は規制の枠組みから外れた、こうした信用取引の膨張を防ぐ必要があるだろう。
◆信用取引における売り買いの極端な不均衡に関しては、貸株市場が十分に発達していないことも背景の一つとされている。機関投資家の育成や、貸株を制限する不必要な法的制約の撤廃等が必要と考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
-
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
-
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日