外形標準課税の改正とその背景

減資や分社化・持株会社化に対応した制度に

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2024年03月26日

サマリー

◆与党の「令和6年度税制改正大綱」に基づいて起草された地方税法等改正法案(正式名称は「地方税法等の一部を改正する法律案」)では外形標準課税の改正が示された。本稿では、外形標準課税の改正が行われる背景と改正内容について解説する。

◆外形標準課税とは(現行制度では)資本金1億円超の普通法人に対して、法人事業税のうちの付加価値割と資本割を課す制度である。法人の所得以外の要素(外形)を基準に事業規模を判定して課税される。所得を課税標準としないことで、景気変動の影響を受けにくい安定財源として地方公共団体に活用されている。

◆ただ、資本金1億円超が基準となっていることで、減資によって課税を逃れるケースが増加している。他にも、分社化・持株会社化によって子会社の資本金が減少し、課税対象から外れるケースもある。実質的に大規模な法人が外形標準課税の対象外となるケースも増加し、対象法人数は制度導入直後の約3分の2まで減少している。

◆改正により、外形標準課税の基準として資本金1億円超は維持しつつも、減資への対応として、資本金1億円超の企業が資本金1億円以下となった場合も「資本金+資本剰余金」の合計額が10億円超であれば、引き続き外形標準課税の対象となる。加えて、分社化・持株会社化への対応として、大企業の100%子会社の「資本金+資本剰余金」の額が2億円超の場合は外形標準課税の対象になることが示された。

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