サマリー
◆12月8日、与党が税制改正大綱を公表した。法人課税に関して、役員給与の見直しが盛り込まれている。役員給与に関する税制は、損金算入が認められる給与を、原則として定期同額給与・事前確定届出給与・利益連動給与に限るというものである。
◆大綱は、利益連動給与に認められる連動指標を拡大している。現行制度では、「当該事業年度」の「利益」に関する指標に限られているが、大綱では、「株価」や「売上高」に関する一定の指標が追加され、「当該事業年度後の事業年度又は将来の所定の時点若しくは期間の指標」も認めるとされている。また、利益連動給与として、中長期の業績に連動して交付される「株式」も認められ、いわゆるパフォーマンスシェアについて税制上の手当てがなされている。
◆新株予約権による給与に関して、現行制度では不相当に高額な部分を除き損金算入が認められるが、大綱は、損金算入が認められるものを、事前確定届出給与又は利益連動給与の損金算入要件を満たすものに限定している。
◆譲渡制限付株式に関しては、現行制度では自社又は完全親会社の株式に限られているが、大綱では、それ以外の会社の株式も追加されている。また、非居住者に交付した場合、現行制度では会社側は損金算入が認められないが、大綱ではこれを認めることとされている。
◆改正の適用時期は、新株予約権・譲渡制限付株式等については、平成29年10月1日以後に支給・交付決議をする給与について適用され、それ以外の部分については、平成29年4月1日以後に支給・交付決議をする給与について適用される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
役員給与の見直し(10月施行分)のポイント
税制非適格ストック・オプションと譲渡制限付株式を中心に
2017年09月27日
-
上場株式等の住民税の課税方式の実質見直し
今年(2016年分所得)の確定申告から適用可、最大5%減税に
2017年01月25日
-
税制改正大綱—資産課税・相続税等の見直し
タワーマンションの建物部分固定資産税は最大7%程度の変動
2017年01月05日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
東証カーボン・クレジット市場の動向と今後の市場活性化に向けた課題
市場活性化の鍵を握るボランタリー・クレジットの活用
2024年05月09日
-
ガバメントクラウドは誰に任せるべきか
国産クラウドの初採用に寄せる期待と懸念
2024年05月09日
-
消費データブック(2024/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2024年05月02日
-
FOMC 利下げ開始の先送りを示唆
再利上げには消極的、2024年内の利下げ開始は明言せず
2024年05月02日
-
新興国通貨安は脱炭素に向けた投資の障害に
~通貨バスケットに連動する債券(WPU連動債)で為替リスクを低減~
2024年05月08日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日