EUにおけるリテール投資家への情報提供のあり方の検討:②記載事項編

パフォーマンスをどのように示せばわかりやすいのか

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サマリー

◆EUでは、投資者保護を目的に制定されたPRIIPs Regulationの枠組みに対して適切な見直しを行うために、EUの銀行・証券・保険の監督局(ESAs)が提言書をまとめた。その主な提言内容は重要情報を提供するPRIIPs KIDに関するもので、本稿ではPRIIPs KIDの対象となる金融商品の売買や保有等によって、リテール投資家が負担するコストやその金融商品のパフォーマンス等の情報提供について現行制度とその議論をまとめる。

◆コストについて現行制度では、まず総コストを提示し、その商品に掛かるコストが一時的か継続的か、何に掛かるコストであるのか、といった詳細を表で示す必要がある。提言書では、パーセンテージだけではなく、コストの実額(金額)表示も有効か、消費者テストを実施する必要があるとしている。

◆パフォーマンスに関する情報については、リテール投資家に適切に理解されるように情報提供するべきであるとして、ESAsのみならず金融商品組成者や投資助言業者といった金融業者が、パフォーマンスに関する情報提供の現行制度見直しを提案している。ESAsは、現行制度の見直しを通じて商品類型に合わせてパフォーマンスに関する情報の示し方を変えて、リテール投資家に対し、より有益な情報を提供することが可能になると期待している。

◆PRIIPs KIDは、日本の「重要情報シート」の参考にされたと考えられる。現行制度下のPRIIPs KIDはもちろんのこと、今後のEUにおけるPRIIPs KIDの見直しの方向性が、日本における情報提供のあり方に係る議論の参考とされる可能性があるだろう。

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