ベイルイン、債務超過等の場合に限定へ

【預保法施行規則改正案】預保法改正法の曖昧な解釈を排除

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2013年12月13日、金融庁は、「平成25年金融商品取引法等改正(9ヶ月以内施行)等に係る預金保険法施行令等の一部を改正する政令案等の公表について」(預保法施行令等改正案)を公表している(コメント提出期限は2014年1月14日)。


◆預保法施行令等改正案は、2013年6月19日に公布された「金融商品取引法等の一部を改正する法律」のうち、公布日から9ヶ月以内に施行される部分(9ヶ月以内施行改正法)に係る細則案である。9ヶ月以内施行改正法には、金融システムの安定を図るための金融機関等の資産及び負債の秩序ある処理(“resolution”)の枠組みの整備を目的とした、預金保険法の一部改正(預保法改正法)が含まれている。


◆預保法施行令等改正案が公表されるまでは、預保法改正法の文言上は、債務超過等を前提とした「第二号措置」、「第三号措置」及び「特定第二号措置」の場合のみならず、債務超過ではないことを前提とした「第一号措置」及び「特定第一号措置」の場合においても、契約上のベイルインの発動がなされうるという解釈が可能であった。こうしたことから、預保法改正法の公布日(2013年6月19日)から預保法施行令等改正案の公表日(2013年12月13日)までの間、実務担当者レベルで多少の混乱があったであろうことが推測される。


◆預保法施行令等改正案における契約上のベイルインの条項は、前述のような曖昧な解釈を排除するものとなっている。すなわち、預保法施行規則改正案は、契約上のベイルインの発動がなされうるケースを、債務超過等を前提とした「第二号措置」、「第三号措置」及び「特定第二号措置」の場合に限定している。


◆また、預保法施行令等改正案は、契約上のベイルインの対象となる社債、優先株式及び劣後ローンが無担保であることを確認している。


◆なお、預保法施行令等改正案には、預保法改正法の施行期日を示唆する条項は含まれていない。

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