2013年04月02日
サマリー
◆2013年3月19日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、「2012年6月30日時点におけるバーゼルⅢモニタリングの結果」を公表している。
◆今回のモニタリングの対象となった銀行(金融機関)は、全部で210である。その内訳は、グループ1(Tier1資本30億ユーロ超の国際的に活動する銀行(金融機関))が101、グループ2(その他すべての銀行(金融機関))が109である。
◆普通株式等Tier1(CET1)比率に関しては、グループ1の97%が最低所要水準(4.5%)を、84%が最低所要水準と資本保全バッファーの合計(7.0%)をクリアしている。同じくグループ2では、96%が最低所要水準(4.5%)を、83%が最低所要水準と資本保全バッファーの合計(7.0%)をクリアしている。
◆グループ1およびグループ2の銀行(金融機関)におけるリスク・アセット(自己資本比率計算における分母)は、バーゼルⅢを適用することにより、それぞれ(現行規制ベースと比して)16.1%、8.4%の増加がみられている。グループ1における最大の変動要因は信用評価調整(CVA)の導入であり、リスク・アセットを5.5%増加させるという結果が出ている。
◆全体として、前回のモニタリング結果(2011年12月31日時点)からの改善が見られており、とりわけCET1の資本不足額は大幅に減少している。具体的には、グループ1の銀行(金融機関)において、最低所要水準(4.5%)に対する資本不足額、そして最低所要水準および資本保全バッファーの合計(7.0%)に対する資本不足額が、それぞれ前回から68.7%、45.8%も減少している。
◆今回のモニタリング結果から、銀行(金融機関)は、主として現状のペースで内部留保を積立てていくことにより、2019年の完全実施までに、CET1比率7.0%、ひいては総自己資本比率10.5%に対する資本不足額の大部分を補うことが可能となりそうなことが窺われる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日