2012年11月20日
サマリー
◆金融庁は、2012年5月29日より、金融審議会「金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方に関するワーキング・グループ」(WG)を開催している。
◆WGでは、テーマの一つとして、「金融機関の破綻処理の枠組み」を審議している。ここでいう「破綻処理」は、破産法に基づく通常の清算手続ではなく、金融危機対応のための金融安定化措置を指している。
◆我が国では、このような金融安定化措置として、公的資金注入を前提とした預金保険法第102条が据えられている。欧米では、昨今の金融危機において、このような金融安定化措置に基づき、公的資金注入による大規模金融機関の救済(ベイルアウト)が行われている(いわゆる“Too Big To Fail”)。
◆しかし、FSBは、昨年11月、「金融機関の実効的な破綻処理の枠組みの主要な特性」(“Key Attributes”)において、ベイルアウトを廃止し、債権者や株主による損失負担(ベイルイン)、そして金融業界による破綻処理費用の負担といった「主要な特性」を備えた“resolution”枠組みの策定を提唱している。“Key Attributes”は、“resolution”の対象を「システム上重要な金融機関」としており、預金取扱金融機関のみならず、ノンバンクも対象となり得るとしている。
◆WGは、FSBが実施している“Key Attributes”との整合性に関する現状監査(ピア・レビュー)に対応すべく、我が国における金融危機対応のための“resolution”枠組みを見直す方向で検討を進めている。その方向性を端的に表すと、「預金保険法第102条に基づく金融安定化措置をそのまま残しつつ、これに加えて、“Key Attributes”を踏まえた“resolution”枠組みを新設する」ということになろう。
◆もっとも、WGは、「納税者負担の回避」という“Key Attributes”の理念とは異なり、公的資金注入の対象をノンバンクにまで拡大するというアプローチを提示している。
◆WGは、年末までに原案をまとめ、早ければ来年の通常国会に関連法案を提出することとしている。
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