サマリー
◆大和総研は、2021年7-9月期の実質GDP成長率の見通しを前期比年率+2.6%と下方修正した。新型コロナウイルスの感染再拡大によって人々の外出が抑制され、サービス消費が伸び悩み、個人消費が失速することで、4-6月期の同+6.7%から大きく減速すると見込む。
◆消費者マインドを中心にスタグフレーション懸念が強まっているが、1970年代から1980年代前半に見られたような高インフレとマイナス成長が併存する状況にはない。足下のインフレ加速と景気の緩やかな減速感を踏まえれば、「スローフレーション(スローグロースとインフレーションを掛け合わせた造語)」という表現が正しいだろう。
◆過去30年間を振り返れば、「スローフレーション」は5回存在した。いずれの時期もスタグフレーションが懸念されたが、概ね1年前後で終了した。足下の経済状況は、2011年の「スローフレーション」に類似している。
◆ただし、「スローフレーション」が長期化する恐れがある。とりわけ、労働供給が伸び悩めば、賃金上昇圧力が維持され、企業が価格転嫁をすることでインフレ加速が継続することになる。インフレ加速が長引き、景況感がさらに悪化することで、「スローフレーション」にとどまらず、スタグフレーションへと転換することが最大のリスクといえる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日