サマリー
◆直近の公表データを基に推計すると、2022年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.4%と2四半期ぶりのプラス成長となったとみている。7-9月期は新型コロナウイルスの感染状況に大きく左右されるが、メインシナリオでは行動制限が回避されるとの想定の下、サービス消費の回復が継続することもあって同+6.8%と高めのプラス成長を見込んでいる。一方、行動制限に中国での広範囲かつ長期的なロックダウンが加わるリスクシナリオでは、7-9月期の実質GDP成長率は同+0.8%程度まで低下する可能性がある。
◆政府は今冬に最大9基の原子力発電所(以下、原発)の稼働を目指している。これに伴って石炭火力発電の稼働が抑えられれば、石炭輸入額の減少を通じて名目GDPを直接的に0.4兆円程度押し上げ、家計の電気料金を1世帯あたり2,000円/年程度引き下げる。発電量の増分は「サハリン2」由来の天然ガスで賄われている発電量に匹敵する。ウクライナ危機が長期化する中、安全性を確保した原発を可能な限り稼働させる重要性は高まっており、2023年以降も官民を挙げて電力供給体制の強化に取り組むべきだ。
◆電力需給逼迫の緩和と実質的な電気代負担の軽減の両方に対応するための「節電プログラム」が導入される。これは、プログラムへの登録や節電を行った家庭や企業を対象に、政府がポイントを付与する仕組みだ。登録した家庭には2,000円分相当のポイントが一律に付与される。プログラムで気になるのが、節電の取り組みをどう評価するかだ。節電行動の実態を十分に反映しない形でポイントが付与される可能性があるため、民間事業者の先行事例を活かしつつ、評価方法について多面的に検討する必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日