サマリー
◆日本経済は緩やかな回復基調が続いているものの、民需はこのところ伸び悩んでいる。個人消費は10月前半までおおむね横ばいで推移したとみられる一方、景気回復をけん引している輸出はペントアップ需要の発現もあって9月まで増加が続いた。もっとも欧州では感染再拡大が深刻化しており、輸出の下振れリスクは高まっている。仮に欧州向け輸出が落ち込めば、その影響は輸送用機器や電気機器を中心に表れるだろう。
◆感染拡大の長期化が予想される中、多くの業種では業況の改善が当面は緩やかなものとなり、宿泊・飲食サービス業など一部の業種では特に雇用調整や倒産のリスクが高まることが懸念される。こうした企業活動の現状を踏まえると、2020年度中に期限を迎える各種施策の延長など、追加の経済対策が必要だろう。その際、感染状況や経済実態などを踏まえて支援対象を絞りつつ、給付を重点化したり新たな支援策を検討したりするといった制度のメリハリも求められる。
◆飲食料品において小売物価と購入単価の動きを比較すると、コロナショック後に家計の高価格志向、いわゆる「プチ贅沢」志向が強まったとみられる。コロナショックで生じた在宅関連需要の高まりや、外食が減少する中での飲食料品のプチ贅沢志向の強まりといった変化は、アフターコロナ時代も継続すると考えられる。すなわち、企業がコロナショックで生じた消費構造の変化に対応することは、10年先の経済社会構造を見据えた取り組みという側面があるため、企業の持続可能性を高めることにもなろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日