2023年7-9月期法人企業統計と2次QE予測

価格転嫁が進み経常利益は一段と増加/2次QEは上方修正を予想

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2023年12月01日

サマリー

◆2023年7-9月期の全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前年同期比+5.0%、経常利益は同+20.1%と、3四半期連続の増収増益となった。幅広い業種で価格転嫁が進んだことで売上高は堅調さを維持し、経常利益は大幅増となった。ただし、高水準の賃上げを受けて人件費は経常利益を下押しした。季節調整値で見ると、全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前期比+1.1%と10四半期連続の増収、経常利益は同+0.8%と3四半期連続の増益となった。設備投資(ソフトウェア除く)は前年同期比+1.7%と前期(同+4.4%)から減速し、季節調整値では前期比+0.3%と小幅な伸びにとどまった。企業のキャッシュフローは高水準にあるが、先行き不透明感の強さもあって企業は手元資金の確保を優先している。

◆2023年10-12月期以降の経常利益(季節調整値)は前期比で増加傾向が続くとみている。製造業では、引き続き自動車の挽回生産が関連業種の追い風となろう。シリコンサイクル(世界半導体市場に見られる循環)の回復による半導体関連業種の業績改善も期待される。他方、国内外で需要が伸び悩む資本財セクターについては低調となろう。非製造業では、中国からの団体旅行客の回復などが企業収益を押し上げるとみている。設備投資は、緩やかな増加基調にとどまるだろう。

◆今回の法人企業統計の結果を受けて、2023年7-9月期GDP2次速報(12月8日公表予定)では実質GDP成長率が前期比年率▲1.1%と、1次速報(同▲2.1%)から上方修正されると予想する。

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