サマリー
◆2020年の世界の財貿易は、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う世界各国のロックダウン等によって大きく縮小した。一足早く経済活動が再開された中国では各国の生産を代替したことなどにより、世界の輸出総額における中国シェアは大幅に高まった。多くの国では供給体制が回復傾向にあるものの、中国のシェアは感染拡大前より2%ptほど高い水準を維持している。
◆米欧では主に航空機関連製品が輸出額の減少に寄与した。半面、中国においてはマスク等の感染症対策に関連する財や在宅勤務に不可欠なパソコンなど、コロナ禍で特需が発生したとみられる品目が輸出の拡大に寄与した。中国の感染症対策関連財輸出はこのところ緩やかに減少している一方、パソコンやその周辺機器は底堅く推移している。在宅勤務等のテレワークの拡大・定着などを背景に中国の同品目の輸出は底堅さを維持し、輸出全体を下支えするだろう。
◆日本の輸出額も欧米ほどではなかったものの、印刷機や航空機関連製品を中心に輸出額が減少した。日米欧においてコロナ禍で減少した品目の輸出は、ワクチンの普及で新規感染者数の明確な減少が見られるようになれば回復基調が強まり、輸出全体の底上げにつながろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
SSBJの日本版サステナビリティ開示基準案
プライム市場上場会社は適用が義務化される見通し
2024年04月12日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2023年3月
2023年春闘では大幅ベアに/物価高の中でも好調な企業収益の背景
2023年03月22日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
SSBJの日本版サステナビリティ開示基準案
プライム市場上場会社は適用が義務化される見通し
2024年04月12日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2023年3月
2023年春闘では大幅ベアに/物価高の中でも好調な企業収益の背景
2023年03月22日