サマリー
◆2017年5月の企業関連の指標を見ると、鉱工業生産指数は前月比▲3.6%と大幅な低下となった。一方で、機械受注(船舶・電力を除く民需)は同▲3.6%と2ヶ月連続で減少した。需要者別に受注を見ると、製造業は同+1.0%と4ヶ月連続で増加した。輸出拡大に伴う稼働率の上昇を受け、製造業の受注動向は緩やかに増加を続けている。また、非製造業(船舶・電力を除く)は同▲5.1%と3ヶ月連続で減少した。高水準で推移してきた受注動向には減速感が見られる。
◆2017年5月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比+0.7%と2ヶ月連続で増加した。実質消費支出は、均してみれば回復の兆しがうかがえる。また、完全失業率(季節調整値)は前月から0.3%pt上昇し3.1%、有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01pt上昇し1.49倍となった。先行きの労働需給は、非製造業を中心とする高い労働需要を背景に、タイトな状況が続く見通しである。ただし、ほぼ完全雇用状態に達しているため、就業者数の増加ペースは緩やかなものにとどまるとみている。
◆今後発表される経済指標では、8月14日発表予定の4-6月期GDP(一次速報)に注目している。4、5月の月次統計に基づけば、4-6月期の実質GDP成長率(前期比)は内外需両面から押し上げられる形で6四半期連続のプラス成長になるとみている。GDPで最も大きなウェイトを占める個人消費について、需要側の統計である家計調査の実質消費支出指数は緩やかな拡大基調にある。また、鉱工業生産で積み増されている在庫投資や、好調な企業収益を背景にした設備投資、さらに、2016年度補正予算執行の影響が出る公的固定資本形成も内需を押し上げるだろう。また、外需についても、輸出を主因として4四半期連続で前期比プラスに寄与する可能性が高い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
東証カーボン・クレジット市場の動向と今後の市場活性化に向けた課題
市場活性化の鍵を握るボランタリー・クレジットの活用
2024年05月09日
-
ガバメントクラウドは誰に任せるべきか
国産クラウドの初採用に寄せる期待と懸念
2024年05月09日
-
消費データブック(2024/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2024年05月02日
-
FOMC 利下げ開始の先送りを示唆
再利上げには消極的、2024年内の利下げ開始は明言せず
2024年05月02日
-
新興国通貨安は脱炭素に向けた投資の障害に
~通貨バスケットに連動する債券(WPU連動債)で為替リスクを低減~
2024年05月08日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日