2016年1月全国消費者物価

コアCPIは横ばい、円高と原油安で今後は再びマイナス圏へ

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2016年02月26日

  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 小林 俊介

サマリー

◆2016年1月の全国コアCPI(除く生鮮食品、以下コアCPI)は前年比0.0%と概ね横ばいとなり、市場コンセンサス(同0.0%)通りの結果になった。前月からプラス幅が縮小したのは、需要の弱さなどを背景に耐久消費財の伸びが鈍化したことによる。


◆2016年2月の東京コアCPI(中旬速報値)は、前年比▲0.1%(2016年1月同▲0.1%)と2ヶ月連続のマイナスとなった。東京コアCPIの結果を踏まえると、2016年2月のコアCPIは前年比▲0.1%と見込まれる。


◆先行きのコアCPIの前年比は、再びマイナス圏に転落し、その後もマイナス幅が緩やかに拡大すると見込まれる。昨年後半までの食料品、日用品、外食の値上げの影響や、耐久消費財の上昇が引き続き消費者物価の押し上げ要因として残るものの、2015年末以降の円高と原油安のダブルパンチによる物価下押し圧力が増大するためである。


◆日本銀行は、2016年1月29日に公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」において、インフレ目標が実現する想定時期を2016年度後半頃から2017年度前半頃へと後ずれさせたが、コアCPIの動向を勘案すると、そのハードルは依然として高いと評価できる。こうした中、金融市場では、日本銀行と政府に対し、追加の金融緩和および予算の前倒し執行に対する期待感が一層強まると予想する。

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