サマリー
◆2015年7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率▲0.8%(前期比▲0.2%)と、市場コンセンサス(前期比年率▲0.2%、前期比▲0.1%)を下回った。実質GDPのマイナス成長は2四半期連続である。個人消費と輸出が増加に転じたものの、設備投資の減少や大幅な在庫調整が全体を押し下げた。海外の「2四半期連続のマイナス成長=景気後退」という基準に従えば、日本経済は景気後退局面入りしたと評価できる。ただし、今回のマイナス成長の主因が在庫調整であることやマイナス幅が小幅なものに留まったことを勘案し、さらには実質GDPの水準を均して基調を判断すると、実態として景気が大きく腰折れしたとは考えていない。
◆2015年7-9月期の結果を需要項目別に見ると、個人消費は前期比+0.5%と2四半期ぶりの増加となったが、4-6月期の減少幅(同▲0.6%)を取り戻しておらず、個人消費の回復ペースに力強さは見られない。設備投資は前期比▲1.3%と2四半期連続の減少となり、これまでの増勢一服が鮮明になった格好だ。民間在庫品増加は前期比寄与度▲0.5%ptと3四半期ぶりのマイナス寄与となり、実質GDPを大きく押し下げた。輸出は前期比+2.6%と2四半期ぶりの増加となった。
◆当社のメインシナリオとして、先行きの日本経済は海外経済減速の影響が緩和する中で、良好な雇用環境や所得環境の改善を背景とする個人消費の回復などを受けて、「踊り場」局面から徐々に持ち直すと予想している。個人消費は、良好な雇用環境や所得環境の改善を背景に、振れを伴いながらも持ち直しの動きが続くと見込む。輸出は、海外経済減速の影響が緩和する中で、強弱入り混じりながらも緩やかな回復基調が続くと考えている。設備投資は、過去最高水準の企業収益などを背景に、振れを伴いながらも緩やかに増加するとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日