サマリー
◆消費者物価上昇率が2%に届かない中、日銀による金融緩和は基本的に継続されると見込んでいる。金利の抑制効果を通じて国内景気を押し上げるとみられるが、その効果は限定的であろう。金融政策だけでインフレ目標を実現することは難しく、合わせて成長戦略の実行が必要である。
◆安倍政権の成長戦略の評価はB(良)の下くらいである。成長率を高めるために必要なのは「公正な競争」と「多様な人材の活用」であり、国家戦略特区やTPP・対日直接投資は国内市場の競争圧力を高めることになろう。また、イノベーションを引き出すには市場を活かした制度改革が不可欠である。
◆医療提供体制の見直しが実行段階に入る。需要抑制の取り組みの他に、負担の見直しでは、「年齢別」から「負担能力別」へ切り替える方向性となっている。高齢者層の中でも応能負担を強めることは避けられない。ただ、そのためには、各人の負担能力を正確に把握するためにも情報インフラ整備が必要である。給付抑制を着実に進めるとともに、財政健全化と整合的な社会保障制度改革の姿を示すべき。
◆目次
(1)金融政策の効果と限界 | p.2 (小林) |
(2)安倍政権の成長戦略はどこへ向かうべきか | p.6 (溝端・石橋) |
(3)今春から本格化する社会保障制度改革 | p.23(神田) |
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済中期予測(2014年2月)解説資料
牽引役不在の世界経済で試される日本の改革への本気度
2014年02月18日
-
日本経済中期予測(2014年2月)
牽引役不在の世界経済で試される日本の改革への本気度
2014年02月05日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
消費データブック(2024/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2024年05月02日
-
FOMC 利下げ開始の先送りを示唆
再利上げには消極的、2024年内の利下げ開始は明言せず
2024年05月02日
-
少数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実
持分法適用関係についてもCG報告書開示を要請
2024年05月01日
-
ユーロ圏はテクニカルリセッションを脱出
1-3月期GDPは前期比+0.3%、市場予想から上振れ
2024年05月01日
-
新興国通貨安は脱炭素に向けた投資の障害に
~通貨バスケットに連動する債券(WPU連動債)で為替リスクを低減~
2024年05月08日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日