サマリー
◆2013年1月の貿易統計では、輸出金額は前年比+6.4%と、8ヶ月ぶりの増加に転じ、市場コンセンサス(同+5.6%)を上回った。輸出金額を季節調整値で見ても前月比+3.6%と3ヶ月連続の増加となっており、輸出は下げ止まりつつあると言える。ただし、輸出数量は同▲6.0%と前年割れが続いている。鉱工業生産等の国内景気は輸出数量との連動性が高いことに鑑みると、国内景気を牽引する程には輸出の回復が進んでいない印象である。
◆輸出数量指数(大和総研による季節調整値)を地域別に見ると、米国向けが2ヶ月連続の増加となったものの、アジア向けは前月から横ばい、EU向けが減少したことから、全体としては前月比▲2.4%と2ヶ月ぶりの減少となった。均して見ると米国向け、アジア向けでは持ち直しの動きが見られるものの、EU向けの減少が全体の足を引っ張っている格好である。
◆1月の輸入金額は、前年比+7.3%と3ヶ月連続で前年を上回った。急激な円安によって輸入価格が同+8.4%と大幅に上昇したことが輸入金額を押し上げた。この結果、貿易収支は▲1兆6,294億円と7ヶ月連続の赤字となり、赤字幅は過去最大となった。ただし、貿易収支を季節調整値で見ると、1月は▲6,789億円となり、赤字幅は2ヶ月連続で縮小した。LNG等のエネルギーの輸入数量の高止まりから貿易収支の赤字傾向が定着しているものの、赤字幅の拡大にはこのところ歯止めがかかりつつある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日