サマリー
◆企業関連の指標は、足下の減速傾向を再確認する内容であった。鉱工業生産指数は前月比▲1.0%と2ヶ月ぶりのマイナスとなり、弱含んでいる。輸出金額は、前年比▲8.1%と2ヶ月連続のマイナスとなった。これまで堅調に推移した米国向け輸出の増加幅が縮小するなど、先行き不透明感が根強い。機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+4.6%と2ヶ月連続のプラスとなった。ただし、弱含み基調が転換したと判断できるほどの力強さはなかったと言える。先行きは、一時的な踊り場局面入りの可能性があるが、内需の支えにより、総じて横ばい圏での動きが続くと見込んでいる。
◆家計関連の指標は雇用・所得・消費環境に若干の足踏み懸念を感じる内容であった。実質消費(除く住居等)は前月比▲0.7%と3ヶ月連続のマイナスとなった。失業率は前月から横ばいで推移し、有効求人倍率は前月から0.01pt改善した。現金給与総額は前年比▲1.6%と、3ヶ月連続のマイナスとなった。「きまって支給する給与」も前年比▲0.1%と2ヶ月連続のマイナスとなった。先行きは、底堅く推移する生産動向に支えられて、雇用・所得・消費環境も底堅く推移するとみている。
◆今後発表される統計では、10月1日に公表される日銀短観に注目している。他の景況調査では目立った減速は見られないものの、足下では、海外経済の減速に伴って貿易や生産の数字が弱含んでいる。それらの影響が企業の先行き業況判断や設備投資計画、雇用人員判断などの見通しをどの程度押し下げるかを確認したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日