サマリー
◆【概況】3ヶ月ぶりのプラス:11月の機械受注統計は、輸出産業の増加が全体を押し上げ、見通し達成の確度も高まったことから、総じて見ればポジティブな結果となった。国内の機械設備投資の先行指標である民需(船舶・電力を除く)も、前月比+4.8%と3ヶ月ぶりのプラスとなり、市場コンセンサス(同+5.1%)を大きく上回った。ただし、3ヶ月移動平均値ベースでは前月比▲0.7%と3ヶ月連続マイナスとなっている。今回の結果は前月からの反動増による影響が大きいため、幾分割り引いて見る必要もあるだろう。
◆【受注の主要内訳】製造・非製造ともにプラス:需要者別では、製造業が前月比+4.7%、非製造業(船舶・電力を除く)は同+6.2%となり、両者とも高い伸びとなった。増加が目立つのは、「情報通信機械」、「精密機械」である。これは、タイで起きた洪水が、国内での代替生産を促した影響が一部考えられる。ただし、前月からの反動による影響が大きい可能性もあるため、引き続き注視が必要である。弱含み傾向が続いていた外需に関しては、前月比で高い伸び率となり、全体の押し上げに寄与した。しかし今後、外需に関しては、海外経済減速の影響で鈍化する可能性も否定できないため、来月以降も注視したい。
◆【今後の見通し】海外経済の減速が重石:今後は、中期的に、後ズレしている復興需要に下支えされることで、民需は回復基調を辿ると考えられるが、海外経済の減速が重石となり、回復は緩やかなものとなるだろう。企業は先行きの業況判断において慎重な見方を示しており、設備過剰感が減退する中でも、企業が設備投資を控える可能性が高まっている。この背景には、欧州財政危機や新興国の景況感悪化などの海外経済減速による要因が大きいだろう。民需(船舶・電力を除く)に先行するOECDの景気先行指数も、前年比で鈍化傾向にあることから、短期的に民需が弱含むリスクを抱えていよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日