サマリー
◆ユーロ圏、英国ともに2021年4-6月期は事前の予想を上回るプラス成長に転じた。行動制限措置の緩和を受けて、人々が外出・消費行動を積極化させ、個人消費主導の景気回復となっている。4-6月期の1四半期に限ると、欧州(ユーロ圏と英国)は米国や中国を上回る高成長となった。もっとも、米国が4四半期連続のプラス成長でコロナ禍前の水準を上回ったのに対して、欧州はコロナ禍前の水準を約3~4%下回っており、依然として経済正常化の道は半ばといえよう。
◆今後の焦点は、いつコロナ禍前の水準を回復するかというタイミングと景気拡大の持続性であるが、当面は、供給サイドのボトルネックや新型コロナウイルス感染状況等に左右されよう。その先に、コロナ禍で実施されてきた金融・財政政策の緊急措置の後始末が待っていようが、欧州各国の置かれた景気実態やインフレ状況はそれぞれ異なるために、統一した政策対応の調整には時間を要しよう。ばらつきを抱えたままの景気回復が続くだろう。
◆英国(イングランド)は“今やらずしていつ(制限解除を)やるか”という心意気のもと、7月19日、国内の行動制限解除に踏み切り、当時想定された新規感染者の爆増シナリオ(8月中旬には10万人の可能性)をこれまでのところ回避している。短期的には、賭けに勝った形だが、新規感染者が3万人前後という高水準にとどまっているのも事実だ。これが定常化するのか(あわよくば一段と減るのか)、それとも一時の安寧にすぎないなのか。不透明さが残る中、ワクチン先行国として経済の正常化に邁進する。
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