サマリー
◆2022年は何よりも経済の安定が重視される。「需要収縮、供給制約、(成長)期待低下」の三重苦と評される経済的困難の中、中国人民銀行は既に政策対応を開始している。2021年12月15日に預金準備率を0.5%引き下げたのに続き、12月20日には政策金利のLPR(ローンプライムレート)1年物を0.05%引き下げ、3.80%とした。
◆2022年は下半期(恐らく10月か11月)に、5年に1度の党大会の開催が予定されている。翌年3月の国家機構の人事と併せて、昇進の大チャンスが訪れることから、政績(政治的成績)引き上げのため、党・国家機構の幹部には担当地域や部門のパフォーマンスを良くしようとの意向が働きやすくなる。これが、党大会開催年の実質GDP成長率は前年を上回ることが多いことの背景となっている。大和総研は「党大会効果」に期待して、2022年の中国の実質GDP成長率を前年比5.4%と予想している。
◆ただし、2022年1月~3月は慎重にみておく必要がある。「ゼロコロナ」が目指される中、旧正月、北京冬季五輪、全人代という重要な社会的・政治的イベントが終わる3月末までは、いわゆる接触型の消費の回復は難しい。さらに、北京冬季五輪を控え、毎年恒例の冬場の大気汚染物質(PM2.5など)の排出削減が、例年以上に厳しく求められることもある。鉄鋼などの生産抑制が3月末まで続く可能性があるということだ。
◆しかし、こうしたイベントが終わり、3回目のワクチン接種が終了しているであろう、4月~6月以降は、景気の本格的な回復を期待している。景気回復を牽引するのは、旅行や外食などの接触型消費の過去2年分の「リベンジ」である。この他、3月の全人代で、インフラ投資のための地方政府特別債券の発行額がどの程度になるのか、どれほど拡張的な財政政策が指向されるのかにも注目している。
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