上場地方銀行の株主還元方針の現状と傾向

東証プライム市場への上場に伴い期待される「開示の分かりやすさ」

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サマリー

◆4月4日に東京証券取引所(東証)の市場区分が変更になり、投資家との建設的な対話の促進がコンセプトにある「プライム市場」に、61社の地銀が上場した。英文開示や気候変動の影響等の開示に加え、投資家に分かりやすく伝える点での改善も期待される。

◆特に注目したいのが、「株主に対する利益の還元方針」である。現状、上場地銀77社のうち、利益の一定比率を株主に還元する「業績連動型の株主還元方針」を採用しているのは18社に留まっている。有価証券報告書の「配当の方針」では、「安定配当」、「公共」、「内部留保の充実」等のキーワードを過半の上場地銀が記載しているものの、「どのような還元方針か」という点では、分かりにくい表現となっている例も少なくない。

◆業績連動型の株主還元方針を採用する上場地銀が増えていること、還元比率を高める動きがあること、鉄道など「公共性の高い」類似セクターでは業績連動型の方針が多いことから、今後は地銀セクターでも同様に「安定配当」からの変更が進むと見込まれる。

◆しかし、特にプライム市場に上場する地銀は、投資家との建設的な対話の促進との観点で、より積極的に「分かりやすい開示」への移行を進めるべきと考える。

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