2020年04月07日
サマリー
◆3月以降の市場の動揺を受け、各国でドル資金の需要が高まり、ドルの調達コストが上昇している。こうした事態に対応するため、FRBは既存の中央銀行間スワップラインの強化や、新たなスワップラインの締結を行った。
◆ドル供給網に含まれる国は、ドル流動性危機を当面回避できると考えられるが、それ以外の国へも手当てが必要となるだろう。とりわけ、世界経済への影響力が大きいG20に参加する新興国のドル建て債務残高に注目すると、ドル供給網に含まれていない国のドル建て債務が大きく、増加幅も大きい。現在のドル供給網では、カバーしきれないドル建て債務が多く存在しているといえよう。
◆スワップラインの強化で、新興国からの資金流出を補う効果が期待できる。しかし、多くの新興国では、たとえ新型コロナウイルスの感染拡大を防げたとしても、経常収支の黒字幅拡大が難しい中で資金流出が長引き、外貨調達が困難となれば、流動性危機を引き起こしかねない。新興国での危機は金融市場を通じて先進国にも及ぶことになる。G20内の幅広い新興国向けのドルスワップラインの拡充の検討等が必要になってくるのではないか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日