大手生保は中長期の事業環境の変化に対応できるか

~本格化するビジネスモデル変革~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載

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サマリー

伝統的な業態の生命保険会社のうち大手生保は、ビジネスモデルの中長期的な持続可能性の懸念を払しょくする取り組みを本格化している。具体的には、保有契約高依存のビジネスモデルから脱却して、年換算保険料重視のビジネスモデルへの変革を進めている。従来の生保各社のビジネスモデルは、保険料の比較的高額な長期にわたる死亡保障の終身保険を中心とした保有契約高を積み上げるストック型モデルであった。近年では、ライフスタイルが多様化し、家族構成も変化したことから、消費者のニーズが高額・長期の生保商品から少額・短期の生保商品にシフトしてきた。生保業界の重要な中長期的経営指標である生命保険の保有契約高は想定より速いペースで減少しているため、ビジネスモデルのシフトを急ぐ必要がある。さらに、欧米のように消費者保護規制の強化が進展すれば、グループとしての顧客本位の営業体制に基づくプロダクト・ガバナンス体制の構築・強化という負担が加わる。これらを解決しながら、対面販売を中心とした付加価値を如何に維持していくか、生保業界全体、あるいは金融業界全体を巻き込んだ“ 変革” が必要になるのではないか。

大和総研調査季報 2024年春季号Vol.54

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。

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