2014年11月06日
サマリー
◆地方銀行の本業はあくまでも預貸業務である。拠点を置く地域において期待される金融仲介機能を発揮し、資金循環を活発化して、地域の実体経済の成長に寄与することが重要である。
◆日銀の現状の非伝統的な金融政策、持続可能な収益維持を軸とした金融庁の監督指針、政府の地方創生の政策も、上記を実現するために推進されているといえる。特に、日銀の異次元緩和政策の直接的効果、波及効果による貸出増への期待は大きい。一方、その効果の発現には、長い時間がかかることも考えられる。
◆期待される貸出も、直近5年では、超低金利の環境下、地域の資金ニーズが減少しているため、そこから得られる収益の減少が著しい。これに加え、バーゼルⅢ導入による自己資本規制強化の中でクレジットリスクが取りにくい、すなわち貸出を拡大しにくい状況にある。このため、国債運用等、金利リスクを中心に取る有価証券運用が収益の柱となりつつある。
◆しかし、バーゼルⅢ導入による規制強化により、国内基準行は資本調達の手段がコア資本に限定され、信用リスク・金利リスク管理とも資本増強による対応が、さらに難しくなってきている。加えて、国際統一基準行に対しては、銀行勘定の金利リスクを資本賦課の対象とする規制強化も検討されている。
◆地方銀行の2013年度末における自己資本対比の金利リスク量は、2012年度末と比較して減少しているが、収益性の高い銀行と低い銀行では、その対応に差が出てきている。
◆当面の間、預貸業務からの収益の改善は見込みづらく、有価証券運用による利益の積み上げが資本増強に大きな意味を持つ。地方銀行は、有価証券運用のリスク管理を含む、効率的な運用体制の整備が求められている。
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