欧州経済
夢物語ではなくなったユーロ圏財政統合

危機をめぐるコンセンサスの変化

2012年10月26日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト 児玉 卓

サマリー

◆ECBによるOMTの市場沈静化効果が効く中で、10月のEUサミットは無風に近い状態で終わった。OMTの威力の源泉は、金額無制限、優先弁済権の放棄の二つに集約される。もっとも、ECBに可能なことは流動性の供給にすぎず、OMTも時間稼ぎの域を出るものではない。にもかかわらず、それが強い市場沈静化効果を発揮しているのは、世の中のコンセンサスが変化しているからである。

◆1年前、既にユーロ圏危機の収束には財政統合が必要という見方がコンセンサスになっていた。しかし同時に、その実現可能性は絶望的というコンセンサスも存在していた。相変わらず政治の歩みは遅いものの、今では一般認識として財政統合は夢物語ではなくなってきている。この変化が、OMTという時間稼ぎの効力を後押ししている。とはいえ、だから安心というわけではなく、財政統合は被救済国に痛みを強いる形で進められる。社会的・政治的にデフレ政策が持続可能かという深刻な問いは未回答のままである。

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2016年7月7日
欧州経済・金融見通し ~英国は本当にEUを離脱するのか?~

書籍

川村 雄介 監修・著、
大和総研 著
『習近平時代の中国人民元がわかる本』

誕生から半年が過ぎようとして、“改革”に力が入る中国・習近平政権。なかでも、人民元は、中国が世界にアピールできる1つの武器となっている。本書では、人民元に対する素朴な疑問から、中国が目指す未来まで分かりやすく解説。そして、変わりゆく人民元に投資する際の留意点なども指摘している。

川村 雄介 監修・著、
大和総研 著
『ミャンマー開国 ― その経済と金融 ―』

民主化政策への転換を図り、開国したミャンマー。本書では、ミャンマーの歴史・政治体制を俯瞰し、人的資本、産業構造、対外関係、金融・財政などを統計に基づき客観的に解説、抱える課題や今後の経済発展に必要な政策についても述べています。ミャンマーをより深く理解して頂くため、多くのビジネスマンに活用して頂ければ幸いです。